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神秘の湖
LAKE MASHU
摩周カルデラは約7千年前に火山の噴火により屈斜路カルデラの東側に形成されました。摩周カルデラは日本一の透明度を誇る摩周湖に満たされています。比較的新しいカルデラのため、摩周湖は急峻な崖に囲まれています。人を寄せ付けないような美しさで、アイヌ語ではカムイトー(神の湖)と呼ばれています。
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約1万年前までここには巨大な火山がそびえ立っていました。その摩周火山が活動を開始し、約7千年前に大規模な噴火活動が収まると巨大なカルデラが姿を現しました。直径7.5kmの摩周カルデラの誕生です。その後、約3千500年前にカムイシュ島(中島)が誕生し、現在の摩周岳となる火山が噴火を開始。約千年前の噴火が最後の噴火となりました。そして、溶岩と火山灰の地に植物が茂り、カルデラに水が満たされ摩周湖となりました。
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摩周湖には流れ込む川も流れ出る川もありません。湖の水は大地に浸透し、伏流水となって周辺に湧き出していると考えられます。湖の色は「摩周ブルー」と呼ばれ、季節、時間、天候により刻々と変化します。風のない日には湖面は空を映し、まるで鏡のようになります。摩周湖への立ち入りは禁止されていますが、年に一度水質調査が行われています。摩周湖は地球規模での淡水の水質観測の基準として優れた条件を備えているだけでなく、大気の環境も反映していることがわかり、地球上の環境汚染を超高感度で検出できる湖なのです。
1年のうち100日以上も霧に包まれているといわれる摩周湖ですが、特に6月から8月にかけて霧が多く発生します。夜の放射冷却によって湖面の空気が冷やされて発生する「放射霧」は湖面から立ち上ります。夏に釧路沖で暖流の黒潮と寒流の親潮によって発生する海霧が南風に乗り釧路湿原を通り内陸の摩周湖まで到達する「移入霧」は、あっという間に湖面を隠してしまいます。移入霧の中でも摩周湖を囲む崖から白い滝のように一気に流れ込む夏に数回しか見られない「滝霧」は幻の現象とも言われています。
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摩周カルデラの西側には屈斜路カルデラがあります。屈斜路カルデラは約3万年前の噴火活動により形成されたカルデラです。現在はその西側半分を屈斜路湖が満たしています。日本最大のカルデラの中に、日本最大のカルデラ湖を見ることができます。
摩周湖と屈斜路湖をつなぐMKTは、全てのハイカーに素晴らしい景観を見せてくれるでしょう。
屈斜路カルデラと屈斜路湖についてはこちらをご覧ください。
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