地元の小学生12人が摩周・屈斜路トレイルを歩いた記録 最終話

文 :藤原佳澄(川湯小学校 令和5年度5・6学年担任)写真:川湯小学校 編集:MKTマガジン

「小学生が摩周・屈斜路トレイル50キロを完全制覇!」

2023年晩秋、こんなニュースが弟子屈町内を駆け巡りました。
成し遂げたのは、川湯小学校の5・6年生12人(2024年3月現在)

この連載は、小学生が自分たちの言葉で綴った、摩周・屈斜路トレイルの紹介です。6回に分けて連載してきた小学生の記録。その最終話は担任の先生からのメッセージです。

最終回 ロングトレイルと、子ども達

「MKT」、摩周屈斜路トレイル。この道は、阿寒摩周国立公園特有のカルデラ地形が織りなす、森と湖の美しい風景の中を歩ける、1本の散歩道です。

令和5年5月から10月にかけて、川湯小学校5・6年生の12名が6回に分けて、50kmの全てのコースを歩きました。この冊子は、その時の経験を元にして子ども達と作った、長くて楽しい散歩道の記録です。

長い距離を歩く。今の子ども達の日常にはあまりない経験です。それも、舗装されていない森の中や湖の側を雨の日にカッパを着て歩くなんて!

初めて歩いた日。最初ははしゃいでいた子ども達も、途中の林道(石山林道)では完全に無言になり、予定していたゴールの2kmほど手前で歩くのをやめなければならないほど、ヘトヘトになりました。

そんな子ども達も、3回目は13km近くをさわやかに歩ききり(お弁当休憩の時間には、鬼ごっこまでやっていた!)、秋になって再開した4~6回目では、「外国人ハイカー並み!」とガイドさんが驚いたほど速いペースで歩ける、たくましい子ども達に成長しました。

子ども達は「頑張った」のではありません。ひたすら「楽しんで」いました。暑くて汗だくになっても、雨にぬれて靴がびしょぬれになっても、誰一人として、「歩きたくない」とは言わなかった。

歩きながら「恋バナ」に花を咲かせたり、露天風呂で滑って転んでずぶ濡れになったり。遅れて歩く子をむかえに行ったり、手をつないで歩いたり。

仲間と一緒に歩く子ども達は、暑い日も雨の日も本当に楽しそうで、最後の方は「ゴールが待ち遠しい」のではなく、「ゴールするのがもったない」という声を聞くほどでした。

ロングトレイルの魅力とは、何でしょうか。「美しい景色」や「買い食い」、いろいろありますが、私は何より、「その土地の風景になれること」だと思っています。

一面に咲くイソツツジの原っぱを、子ども達と歩きました。学校のすぐ近くの道ですから、毎日車の窓から見ている景色なのです。

「見慣れた絶景」「見飽きた絶景」

でも、その景色をいつも通り「見る」のではなく、その景色の「一部になる」ことで、子ども達はこの弟子屈町の魅力を再発見したように思います。

みなさんも、「カルデラの風景の一部」になってみませんか?巨大なカツラに抱きつき、湖からの風に吹かれ、砂糖つきのアメリカンドックを味わい、そしてゴールをした時。そこには、新しい自分が待っていてくれるはずです。

お気に入りの場所は、ここ!
川湯小学校 令和5年度5・6年学級一同

※この記事は、弟子屈町立川湯小学校5・6年学級(令和5年度)の生徒によるパンフレット「弟子屈再発見!」(全16ページの小冊子)からの引用です。「弟子屈再発見!」は令和6年1月に500部発行。川湯ビジターセンターや道の駅摩周温泉などで配布、町内の公共施設で閲覧することができます。

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Writer

『MKT MAGAZINE 』とは、摩周・屈斜路トレイル(MKT)を歩くことが『もっと面白くなる』マガジン。

総距離50km(2023年4月現在)のトレイル上とその周辺には、
火山、湖、温泉、それらがつくりだす独特な自然景観と植生、
アイヌの歴史、そして現在ここで生活する人々の暮らしなど
この土地ならではの魅力と物語が詰まっています。

『MKT MAGAZINE 』ではその魅力をよく知る人々、MKTを愛する人、摩周・屈斜路のフィールドを愛する人と共にMKTならではの情報を発信していきます。

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