湯治場・川湯温泉
KAWAYU ONSEN
火山活動によって生まれた屈斜路(くっしゃろ)カルデラは、多くの温泉が湧出する場所でもあります。その代表のひとつが、情緒ただよう川湯温泉街です。湯治場としても栄えた温泉街は、道のあちこちから硫黄の香りが漂い、湯けむり街の風情があります。
この川湯温泉周辺は、古くからアイヌの人々に「セセキベツ(湯の川)」と呼ばれてきました。昔からこの一帯は、硫黄山(アトサヌプリ)の噴気現象により地下水が熱せられ、温泉が湧き出していたのです。約100年前〜600年前は、この周辺の原生林のなかをお湯が流れていたそうです。
この地の本格的な開湯は、明治37年のこと。日本では数少ない強酸性硫化水素を含む明ばん・緑ばん泉は効能が高く、当初から多くの湯治客で賑わいました。
川湯温泉が注目されるきっかけとなったのは硫黄山です。硫黄山の硫黄採掘から始まり、昭和6年に釧網線が開通し、鉄道を利用した観光客が美しい自然と温泉を求めて訪れるようになりました。こうして温泉宿も増えていき川湯温泉は発展しました。
現在においても、川湯温泉は「源泉100%かけ流し宣言」の温泉街として知られています。そのため、どこの施設であっても薬効たっぷりの源泉にゆっくりと浸かることができるのが最大の特徴。足湯のある川湯園地も、川から立ち込める湯気が温泉街の旅情をたっぷり感じられます。トレイルを歩いた疲れを、温泉で癒すのも一興です。